海外で育つ子にほど、小さいころからたくさん日本語の歌を聞かせてあげたいものです。歌えば歌うほど、子供の日本語力が伸びる理由と、どんな歌を歌えばいいのかについてまとめました。
なぜ歌うといいの?
すてきな音楽が子供の心によい影響を与えるのはもちろんですが、小さな頃からたくさん童謡を歌ってもらった子供ほど、たくさんの語彙に触れることができます。そして、繰り返されるフレーズから必要な文法を体得することができます。特に、助詞の使い方を頭で理解することなく、インプットすることができます。
例えば、「に」と「で」は両方とも場所にかかわる助詞で、日本語初級者が間違いやすいものですが、歌を通して、簡単に用法をインプットできます。
おおきな くりの きの したで あなたと わたし なかよく あそびましょう
つまり、『木の下で遊ぶ」という動作にかかわる場所をあらわす助詞は「で」なのです。
ちなみに、「に」は「(宝は)木の下にある」のように、存在にかかわる場所をあらわす助詞です。
一部の童謡では、古典的な表現もたまあるとはいえ、ほとんどは、現代で通用する言葉の使い方です。
普通に、日本で日本語に浸って育っていれば、自然と身につく表現も、海外では耳にする日本語の絶対量が少ないので、なかなか身に付かないものです。でも、歌を通して、しらずしらずのうちに身に付けた文法の感覚は、その後の日本語学習において、おおいに役に立つはずです。ややこしい文法は、座学で覚えるのは苦痛です。小さいときに、文法の要所を歌を通してたくさんインプットしておくのが、一番楽しい学び方だと思います。
これは、自分がドイツで初めての子育てしながら、ドイツ語をほぼゼロから勉強した時に実感しました。当時、息子の保育園が親子に開放していた歌のサークルで、一番楽しくドイツ語の文の構造をリズムで覚えることができました。この経験から、「歌ってすごい!」と思いました。童謡は、子供が覚えるべき文法と語彙がつまった宝庫です。こんなに楽しい方法を、一番楽しめる年齢の子供に活用しないのは、もったいないぐらいです。
なにを歌えばいいの?
まず、自分が子供のころから知っている歌を、とりあえず全部歌いましょう!すると、「ぞうさん」や「チューリップ」など、2、3曲歌った後に、気付くのです。
「あれ?なんだか、ぜんぜん、でてこない。。。。」
知っている曲は、もっともっとあるはずなのに、まったく思い出せないという状況は、初めての子育てのときに、多くの人が経験するのではないかと思います。私もそうでしたが、80曲ぐらい童謡の楽譜と歌詞のついた、昔の公文の教材の束をもらってからは、だいぶやりやすくなりました。子供向けの歌の絵本やカードがあると、子供と適当にめくりながら歌えます。私が持っているものは、80年代のぼろいものなのですが、現在、公文がずっと素敵な本やカードにしたものを販売しています。正しく語彙を理解させるためには、挿絵がついていることがポイントです!挿絵がないと、響きから間違った状況を思い浮かべてしまうこともあります。

こちらは200曲も網羅している、歌の絵本です。ほとんどがおなじみの曲なので、一冊あれば十分ですね!
ひとつに30曲入っているカードタイプも使い勝手が良さそうです。全部で3集になっています。
音の出る絵本もあると、便利です。我が家で使っているのは、こちらの製品です。姉からもらったのが、最初の出会いで、それからは自宅用に2冊買い足しました。また、日本語の出来ないスペインの親戚の子供へのお土産にも喜ばれたので、こちらのシリーズはなんやかんやと10冊近く買ったような気がします。
こういった音声のでる絵本は、いろいろな種類が販売されているので迷いますが、学研プラス社のこちらの製品は我が家で長年使っていますが、耐久性抜群です。ポイントは、音質の良さと、破壊的な子供の使用に耐えうる紙の丈夫さです。ページは厚く、しっかりした作りです。何度か電池を交換しましたが、動作上問題が出たことはありません。


海外の童謡の日本語版を知っているとかっこいい!
現在、日本で長く親しまれている童謡は、日本の作詞作曲家のものや古くからあるわらべうたばかりではありません。海外の民謡などが原曲になっているものが意外と多くあります。「きらきらぼし」は、原曲がフランス語ですが、いろいろな国の言葉で歌われています。
他にも、「むすんでひらいて」「ちょうちょ」「かえるのうた」「こぎつね」「やまのおんがくか」「ぶんぶんぶん」「クラリネットをこわしちゃった」など、原曲が外国語のものがたくさんあります。原曲に忠実に日本語訳がついている場合もあれば、ちょっとだけ違っているものから、まったく違う世界観のものまであって比較すると楽しいです。
「もりのくまさん」は、もともとアメリカ民謡です。日本語バージョンのくまは、礼儀正しく、落し物を返しに追いかける律儀さが、ある意味、日本らしさかもしれません。原曲は、また違っていて面白いので、確認したい方はこちらの動画でどうぞ。(熊と少年が出会った直後、互いにガンをとばし、状況を見定めている臨場感と、熊のウィットのきいた状況判断が好きです。)
「おおきなくりのきのしたで」の歌も、私は、日本の歌と思っていましたが、もとはイギリス民謡です。どういうわけか、長男が通っているスペインの小学校では、「o kina kuri no ki no shita de」と日本語で歌っていました。なぜそうなったのかは謎です。(でも、私は訂正していないので、長男のクラスの子はおそらく日本語の歌だと思ったままです。汗)
なにはともあれ、原曲が外国語の歌は、日本語版をちゃんと歌えたり、日本語の意味を現地語で説明できたりすると、お友達にかっこいいところを見せることができ、日本ルーツの子供としては、嬉しいものです。
まとめ
子供が小さいうちは、「一緒にたくさん歌をうたってあげよう!」と思っていても、日々の生活のなかで忘れがちです。日本語のプレイグループや補習校の幼稚部などに入ると、季節の歌や手遊び歌など、みんなで歌う機会が出来るので、活用することをおすすめします。また、手元に童謡の絵本やカードがあると、歌う習慣を作りやすいです。なにを歌えばよいのか悩むことがなくなるので、本当に歌いやすいですよ。
子供は大きくなるにつれて、親子で歌うことを小さい子ほどは楽しまなくなるので、小さいうちが旬です。今日から歌いこみましょう!(←自分に言い聞かせています!)
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